
建設業許可の業種追加では、追加したい建設業種に対応する営業所技術者等(旧・専任技術者)を置く必要があります。
今回、岩手県内の建設会社様から業種追加のご依頼を受け、
- 鋼構造物工事
- 電気工事
- 建築一式工事
の3業種について検討を進めました。
それぞれの業種に対応する資格者が在籍していたため、当初は3業種すべての追加申請を予定していました。
ところが、資格そのものには問題がなかったものの、建築一式工事については営業所技術者等の「常勤性」が問題となり、申請を見送ることになりました。
今回は、実際の申請準備から行政庁への確認、最終的な申請までの流れをご紹介します。
3業種の業種追加を検討
今回、営業所技術者等として予定していたのは、次の資格を持つ3名でした。
| 追加予定業種 | 保有資格 |
|---|---|
| 鋼構造物工事 | 2級土木施工管理技士 |
| 電気工事 | 1級電気工事施工管理技士 |
| 建築一式工事 | 2級建築施工管理技士 |
まず、それぞれの施工管理技士の合格証明書を確認し、追加しようとする建設業種の営業所技術者等として資格要件を満たしているかを確認しました。
今回の資格確認資料には、実際に2級土木施工管理技士、1級電気工事施工管理技士、2級建築施工管理技士の合格証明書がそろっていました。
ここまでは順調でした。
ところが、建築一式工事を担当する予定だった技術者について、別の問題が出てきました。
75歳以上の技術者を営業所技術者等にできるか
建築一式工事の営業所技術者等として予定していた方は75歳以上で、健康保険は会社の健康保険ではなく、後期高齢者医療制度に加入していました。
実際に後期高齢者医療資格確認書も確認しました。
75歳以上であること自体が、営業所技術者等になれない理由になるわけではありません。
問題は、会社との常勤関係をどのように証明するかです。
建設業許可では、必要な資格を持っているだけでは足りません。
営業所技術者等は、原則としてその営業所に常勤し、営業所における建設工事の技術上の管理を担当する必要があります。
そのため、
「資格はある」
ということと、
「営業所技術者等として認められる」
ということは、別々に確認する必要があります。
雇用契約書を確認すると「週4日・週24時間」
会社から雇用契約書を確認したところ、この方は正社員として期間の定めなく雇用されていました。
しかし勤務条件は、
週4日勤務
1日6時間
週24時間
という内容でした。
会社からは雇用証明書も作成していただき、勤務先や勤務時間、継続して勤務していることを確認できる状態にしました。
ただし、ここで疑問が生じました。
週4日・週24時間勤務で、建設業許可上の「常勤」と認められるのか。
書類を作ってそのまま申請するのではなく、事前に許可行政庁へ確認することにしました。
県南広域振興局土木部へ事前確認
そこで、岩手県の建設業許可を担当する県南広域振興局土木部へ、営業所技術者等の常勤性について確認しました。
今回の案件について確認したところ、常勤性については、
週5日・週30時間以上の勤務
であること、さらに原則として、
会社の社会保険に加入していること
が前提になるとの説明を受けました。
また、社会保険に加入できない事情がある場合には、常勤性を確認する資料として、
住民税特別徴収税額通知書(特別徴収義務者用)の写しと、3か月分の特別徴収税額を納めた(振り込みした)事実を確認できるもの
などによる確認が必要とのことでした。
これは今回の案件について行政庁へ事前確認した際の取扱いです。個別の雇用状況や申請内容によって必要書類等が異なる場合がありますので、実際の申請では管轄行政庁への確認が重要です。
建築一式工事の追加申請は見送ることに
今回の技術者は、
- 資格要件は満たしている
- 正社員として雇用されている
- しかし週4日・週24時間勤務
という状況でした。
行政庁への確認結果を踏まえると、現状では営業所技術者等として求められる常勤性を満たさないと判断しました。
そこで会社と相談し、建築一式工事については今回の業種追加から外すことにしました。
無理に申請して補正や不許可のリスクを負うよりも、事前確認の段階で問題点を整理することが重要です。
電気工事と鋼構造物工事の2業種を申請
一方、
電気工事
鋼構造物工事
については、営業所技術者等の資格・常勤性などを確認したうえで、予定どおり業種追加申請を行いました。
結果として、2業種の追加申請は無事に受理されました。
当初予定していた3業種すべてではありませんでしたが、申請前に問題点を確認したことで、確実性の高い形で申請することができました。
「資格者がいるから申請できる」とは限りません
今回の案件で改めて重要だと感じたのは、
建設業許可では「資格」と「常勤性」の両方を確認する必要がある
ということです。
特に、
- 高齢の技術者を採用する場合
- 社会保険に加入していない場合
- 短時間勤務の場合
- 週3~4日勤務の場合
- 他社でも仕事をしている場合
- 現場勤務が中心の場合
などは、営業所技術者等として認められるかを慎重に確認する必要があります。
「施工管理技士の資格を持っている人を採用したので、すぐに業種追加できるだろう」
と思って手続きを進めると、常勤性の確認で止まってしまう場合があります。
業種追加では申請前の確認が大切です
建設業許可の業種追加では、
①追加する業種を決める
②営業所技術者等の資格を確認する
③資格証明書を確認する
④会社との雇用関係・常勤性を確認する
⑤社会保険等の確認資料を確認する
⑥疑問点は行政庁へ事前確認する
⑦申請書を作成する
という順番で進めると、申請後の補正やトラブルを減らすことができます。
今回も、行政庁への事前確認を行ったことで、建築一式工事について無理な申請をせず、要件を満たしている電気工事と鋼構造物工事の2業種に絞って申請することができました。
岩手県の建設業許可・業種追加をご検討の方へ
行政書士伊藤公好事務所では、建設業許可の新規申請だけでなく、
- 業種追加
- 決算変更届
- 役員変更
- 営業所技術者等の変更
- 経営業務の管理責任者等の変更
- 更新申請
などにも対応しています。
「この資格で業種追加できるのか」
「この勤務条件で営業所技術者等になれるのか」
「社会保険に加入していない技術者でも大丈夫なのか」
といった申請前の確認も重要です。
岩手県奥州市・金ケ崎町・北上市をはじめ、県南地域で建設業許可についてお困りの際は、行政書士伊藤公好事務所までお気軽にご相談ください。
行政書士伊藤公好事務所
📍岩手県奥州市水沢東中通り二丁目1番25号
📞 0197-27-2087
🌐 ホームページはこちら

この記事を書いた人 Wrote this article
伊藤 公好
行政書士の伊藤公好(いとう きみよし)と申します。 奥州市で行政書士事務所を開設しました。 建設業許可申請、補助金申請、会社設立、各種許認可、相続・遺言などでお困りの方は気軽にご相談ください。